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レッスン 4 / 12推定時間: 35

フローチャートで描く:視覚的に設計する

頭の中にある自動化のアイデアを、誰でも理解できる図に変換しましょう。フローチャートは、複雑な処理の流れを視覚的に表現する最高のツールです。このレッスンでは、基本的な記号から実践的な描き方まで、ステップバイステップで学びます。

はじめに

前回のレッスンで、自動化の3つの基本要素(トリガー・アクション・条件)を学びました。

でも、複雑な自動化を考えるとき、頭の中だけで整理するのは大変ですよね。

そこで登場するのが「フローチャート」です!

フローチャートは、処理の流れを図で表現する方法。まるで地図のように、スタートからゴールまでの道筋を視覚的に示してくれます。

フローチャートって何?

身近なフローチャート

実は、私たちは日常的にフローチャートを見ています。

例1:駅の乗り換え案内

例2:料理のレシピ

例3:家電の取扱説明書

フローチャートのメリット

  • 複雑な流れが一目で分かる
  • 他の人に説明しやすい
  • 問題点や改善点を見つけやすい
  • 言語の壁を越えて理解できる

フローチャートの基本記号

フローチャートには、世界共通の基本記号があります。たった6つ覚えるだけでOK!

1. 開始・終了(角丸四角形)

使い方:処理の始まりと終わりを表す :「スタート」「完了」「終了」

2. 処理(四角形)

使い方:実行する動作(アクション)を表す :「データを保存」「計算する」「ファイルを作成」

3. 判断(ひし形)

使い方:条件分岐(もし〜なら)を表す :「金額は1万円以上?」「平日?」「承認済み?」

4. データ(平行四辺形)

使い方:入力や出力されるデータを表す :「注文データ」「レポート」「フォーム入力」

5. 矢印(流れ線)

使い方:処理の流れる方向を示す ポイント:基本は上から下、左から右

6. 結合子(円)

使い方:離れた場所をつなぐ、ページをまたぐ時に使用 :大きなフローチャートを分割する時

基本的な描き方のルール

ルール1:上から下、左から右

ルール2:判断は必ず分岐する

ルール3:線は交差させない

❌ 悪い例:線が交差している

✅ 良い例:線が交差しないように迷回している

ルール4:シンプルに保つ

  • 1つの記号には1つの処理
  • 長い説明は避ける
  • 必要に応じて詳細は別図に

実践:簡単なフローチャートを描いてみよう

例1:朝のアラーム

例2:自動返信メール(条件付き)

より実践的なフローチャート

例3:在庫管理の自動化

例4:経費申請の承認フロー

フローチャートを描くコツ

1. まず言葉で書き出す

フローチャートを描く前に、日本語で流れを整理:

1. 毎朝9時になったら
2. 昨日の売上データを取得
3. もし売上が目標以上なら
   - 「目標達成!」とSlack通知
4. そうでなければ
   - 「もう少し頑張りましょう」と通知
5. データをスプレッドシートに記録

2. 大きな流れから描く

最初は細かいことは気にせず、大まかな流れを:

3. 徐々に詳細を追加

4. エラー処理も忘れずに

プロのコツ

  • 紙に手書きで始める(修正しやすい)
  • 付箋を使って並べ替えながら考える
  • 色を使い分ける(正常系:青、エラー系:赤)
  • 番号を振って順序を明確に

デジタルツールでの作成

無料で使えるツール

  1. Google Drawings

    • Googleアカウントがあれば無料
    • 共同編集可能
    • テンプレートあり
  2. draw.io (diagrams.net)

    • ブラウザで使える
    • 豊富な図形
    • 日本語対応
  3. Microsoft PowerPoint/Google Slides

    • 図形機能で簡単に作成
    • プレゼンにも使える
  4. 紙とペン

    • 最も手軽
    • アイデア出しに最適
    • スマホで撮影して共有

描画のショートカット

多くのツールで使える便利な機能:

  • Ctrl+D:図形を複製
  • 矢印キー:細かい位置調整
  • Shift+ドラッグ:まっすぐな線を引く
  • グリッド表示:整列しやすくなる

よくある間違いと対策

間違い1:すべてを1つの図に詰め込む

問題:巨大で複雑な図になり、理解困難

対策

  • メインフローと詳細フローを分ける
  • 結合子を使って図を分割
  • 1画面に収まるサイズを心がける

間違い2:矢印の向きが不明確

問題:どちらに進むか分からない

対策

  • 矢印は必ず矢先をつける
  • 基本は上から下、左から右
  • 逆流する場合は明確に示す

間違い3:判断の出口が1つ

問題:YesかNoの片方しかない

対策

  • 判断は必ず2つ以上の出口
  • すべての可能性を網羅
  • 「その他」の場合も考慮

実践演習:あなたの業務をフローチャートに

ステップ1:題材を選ぶ

あなたの日常業務から1つ選んでください:

  • 朝のメールチェック
  • 定期レポートの作成
  • 顧客からの問い合わせ対応
  • 会議の準備

ステップ2:要素を洗い出す

  • トリガー:何がきっかけ?
  • アクション:どんな作業?
  • 条件:どんな判断?
  • データ:何を入力/出力?

ステップ3:フローチャートを描く

  1. 紙に下書き
  2. 基本記号を使って清書
  3. 他の人に見せて意見をもらう

今日のまとめ

フローチャートの重要ポイント

  1. 基本記号は6つ(開始/終了、処理、判断、データ、矢印、結合子)
  2. 上から下、左から右が基本の流れ
  3. 複雑な処理も視覚的に整理できる
  4. まず日本語で考えてから図にする

次回予告

次のレッスンでは、「入力と出力:データの流れ」について学びます。

  • データはどこから来て、どこへ行くのか
  • 異なるシステム間のデータ連携
  • データの変換と加工
  • 実践的なデータフローの設計

フローチャートとデータフローを組み合わせれば、本格的な自動化の設計ができるようになります!

チャレンジ問題

問題1:記号を当てはめよう

以下の要素に適切な記号を選んでください:

  1. 「注文を受け付ける」
  2. 「在庫は十分か?」
  3. 「処理開始」
  4. 「顧客データ」
  5. 「次のページへ続く」
答えを見る
  1. 「注文を受け付ける」→ 処理(四角形)
  2. 「在庫は十分か?」→ 判断(ひし形)
  3. 「処理開始」→ 開始(角丸四角形)
  4. 「顧客データ」→ データ(平行四辺形)
  5. 「次のページへ続く」→ 結合子(円)

問題2:フローチャートを読み解こう

以下のフローチャートは何を表していますか?

答えを見る

エアコンの自動制御

  1. 温度を測定する
  2. 28度以上なら冷房をONにする
  3. 28度未満なら冷房をOFFにする
  4. 処理を終了する

これは、室温に応じて冷房を自動的にON/OFFする仕組みを表しています。

問題3:フローチャートを完成させよう

「メール自動振り分け」のフローチャートを完成させてください:

答えの例

お疲れさまでした!フローチャートを使えば、どんな複雑な自動化も分かりやすく設計できます。次回も楽しみにしていてください!

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