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レッスン 3 / 12推定時間: 30

自動化の基本要素:トリガー・アクション・条件

自動化を理解する鍵は、3つの基本要素です。「トリガー(きっかけ)」「アクション(動作)」「条件(もし〜なら)」。この3つを組み合わせることで、どんな複雑な自動化も作れます。レゴブロックのように、簡単な要素を組み合わせて学びましょう。

はじめに

前回のレッスンで、ワークフロー自動化が「仕事の流れを自動で実行すること」だと学びました。

では、どうやって「自動」で動くようにするのでしょうか?

実は、すべての自動化は、たった3つの基本要素でできています。

それが:

  1. トリガー(きっかけ)
  2. アクション(動作)
  3. 条件(もし〜なら)

今日は、この3つの要素を、身近な例を使ってマスターしていきましょう!

トリガー(Trigger)= きっかけ

トリガーとは?

トリガーは、自動化が「スタート」するきっかけのことです。

「〇〇が起きたら」の「〇〇」の部分がトリガーです。

日常生活のトリガー例

自動ドア

トリガー:人がセンサーの前に立つ
  ↓
結果:ドアが開く

部屋の照明(人感センサー)

トリガー:人の動きを感知
  ↓
結果:ライトが点灯

スマホの画面

トリガー:端末を持ち上げる
  ↓
結果:画面が自動でON

トリガーの特徴

  • 何かが「起きる」「変化する」瞬間
  • 自動化の「スタートボタン」的な役割
  • 人の操作、時間、データの変化など様々

ビジネスでよく使うトリガーの種類

1. 時間トリガー

例:
- 毎朝9時になったら
- 毎週月曜日の10時になったら
- 毎月1日になったら
- 30分ごとに

使用シーン:

  • 定期レポートの作成
  • リマインダーの送信
  • データのバックアップ

2. イベントトリガー

例:
- メールを受信したら
- ファイルがアップロードされたら
- フォームが送信されたら
- 注文が入ったら

使用シーン:

  • 問い合わせ対応
  • 注文処理
  • 申請承認

3. データトリガー

例:
- 在庫が10個以下になったら
- 売上が100万円を超えたら
- 温度が30度以上になったら
- フォロワーが1000人に達したら

使用シーン:

  • 在庫管理
  • アラート通知
  • 目標達成通知

4. 手動トリガー

例:
- ボタンをクリックしたら
- 特定のコマンドを入力したら
- QRコードを読み取ったら

使用シーン:

  • 任意のタイミングでの実行
  • テスト実行
  • 緊急処理

アクション(Action)= 動作

アクションとは?

アクションは、トリガーが発動した後に「実行される動作」のことです。

「〇〇する」の部分がアクションです。

日常生活のアクション例

炊飯器

トリガー:炊飯ボタンを押す
  ↓
アクション:
1. 水温を測る
2. 加熱を開始する
3. 温度を調整する
4. 蒸らす
5. 保温に切り替える
6. 完了音を鳴らす

エレベーター

トリガー:3階のボタンを押す
  ↓
アクション:
1. 現在階を確認する
2. 上昇/下降を判断する
3. モーターを動かす
4. 3階で停止する
5. ドアを開ける

ビジネスでよく使うアクションの種類

1. 通知・連絡系アクション

例:
- メールを送信する
- Slackにメッセージを投稿する
- LINEで通知する
- プッシュ通知を送る

2. データ操作系アクション

例:
- スプレッドシートに記録する
- データベースを更新する
- ファイルをコピーする
- PDFを作成する

3. 処理実行系アクション

例:
- 計算を実行する
- 画像をリサイズする
- テキストを翻訳する
- QRコードを生成する

4. 外部連携系アクション

例:
- SNSに投稿する
- カレンダーに予定を追加する
- タスクを作成する
- 請求書を発行する

アクションの組み合わせ

複数のアクションを連続して実行することで、より複雑な処理も可能になります。

条件(Condition)= もし〜なら

条件とは?

条件は、「ある状況の時だけ」アクションを実行するための仕組みです。

「もし〇〇なら△△する、そうでなければ××する」という判断を行います。

日常生活の条件例

自動販売機

トリガー:お金が投入される
  ↓
条件チェック:
- もし投入金額が商品価格以上なら
  → 購入ボタンを光らせる
- そうでなければ
  → ボタンは光らせない

エアコンの自動運転

トリガー:1分ごとに温度をチェック
  ↓
条件チェック:
- もし室温が設定温度より高いなら
  → 冷房を強める
- もし室温が設定温度より低いなら
  → 冷房を弱める
- もし設定温度と同じなら
  → 現状維持

ビジネスでの条件活用例

例1:経費申請の自動承認

トリガー:経費申請が提出される
  ↓
条件チェック:
- もし金額が1万円未満なら
  → 自動承認してメール通知
- もし金額が1万円以上5万円未満なら
  → 課長に承認依頼メール
- もし金額が5万円以上なら
  → 部長に承認依頼メール

例2:顧客対応の自動振り分け

トリガー:問い合わせフォームが送信される
  ↓
条件チェック:
- もし「料金について」が選択されているなら
  → 営業部にメール転送
- もし「技術的な質問」が選択されているなら
  → サポート部にメール転送
- もし「その他」なら
  → 総務部にメール転送

条件の種類

1. 比較条件

- 等しい(=)
- より大きい(>)
- より小さい(<)
- 以上(≧)
- 以下(≦)
- 等しくない(≠)

例:在庫数が10個以下、売上が目標値以上

2. テキスト条件

- 含む
- 含まない
- で始まる
- で終わる
- 完全一致

例:件名に「緊急」を含む、メールアドレスが「@gmail.com」で終わる

3. 日時条件

- 特定の曜日
- 営業日/休日
- 時間帯
- 期限前/期限後

例:平日の9-18時、締切3日前

4. 複合条件

- かつ(AND)
- または(OR)
- ではない(NOT)

例:平日かつ9時以降、VIP顧客または購入金額10万円以上

3つの要素を組み合わせる

シンプルな組み合わせ例

例1:朝のアラーム

トリガー:時刻が7:00になる
  ↓
アクション:アラーム音を鳴らす

例2:メール自動返信

トリガー:メールを受信する
  ↓
アクション:定型文を返信する

条件を加えた組み合わせ例

例3:スマートな在庫管理

トリガー:毎日18:00になる
  ↓
条件:もし在庫が20個以下なら
  ↓
アクション:
1. 発注メールを送信
2. 管理者にSlack通知
3. 在庫表を更新

例4:顧客フォローの自動化

トリガー:新規顧客が登録される
  ↓
条件1:もし個人顧客なら
  ↓
アクション:
1. ウェルカムメールAを送信
2. 初回クーポンを発行

条件2:もし法人顧客なら
  ↓
アクション:
1. ウェルカムメールBを送信
2. 営業担当者に通知
3. 見積書テンプレートを送付

複雑な組み合わせ例

例5:問い合わせ対応の完全自動化

トリガー:問い合わせフォームが送信される
  ↓
条件1:もし営業時間内(平日9-18時)なら
  ↓
 条件1-1:もし「緊急」にチェックありなら
   ↓
  アクション:
  - 担当者の携帯に即座に通知
  - 自動返信「30分以内に返信します」
 
 条件1-2:もし通常の問い合わせなら
   ↓
  アクション:
  - 担当部署にメール転送
  - 自動返信「1営業日以内に返信します」

条件2:もし営業時間外なら
  ↓
 アクション:
 - 自動返信「翌営業日に対応します」
 - 翌朝9時に担当者へリマインド

実践的な設計の考え方

ステップ1:目的を明確にする

まず「何を自動化したいか」を明確にします。

例:「お客様からの問い合わせに、素早く一次返信したい」

ステップ2:現在の流れを書き出す

1. メールを受信
2. 内容を確認
3. 緊急度を判断
4. 返信文を作成
5. 送信

ステップ3:自動化できる部分を特定

1. メールを受信 → トリガーにできる
2. 内容を確認 → 条件で判断できる
3. 緊急度を判断 → 条件で判断できる
4. 返信文を作成 → 定型文を用意
5. 送信 → アクションで自動化

ステップ4:要素に分解

トリガー:メール受信
条件:件名に含まれるキーワードで判断
アクション:適切な定型文を自動返信

設計のコツ

  • 最初はシンプルに始める
  • 徐々に条件を追加して賢くする
  • エラーの場合も考慮する
  • テストしながら改善する

よくある質問

Q: 条件が複雑になりすぎたらどうする?

A: 条件は階層的に整理しましょう。

Q: トリガーは1つしか設定できない?

A: 多くのツールで複数のトリガーを設定できます。

  • トリガーA または トリガーB で起動
  • トリガーA かつ トリガーB で起動

Q: アクションが失敗したらどうなる?

A: エラー処理も自動化できます。

今日のまとめ

3つの基本要素

  1. トリガー:自動化が始まるきっかけ(〜したら)
  2. アクション:実行される動作(〜する)
  3. 条件:動作を制御する判断(もし〜なら)

この3つを組み合わせれば、どんな自動化も作れます!

次回予告

次のレッスンでは、これらの要素を「フローチャート」で視覚的に表現する方法を学びます。

  • フローチャートとは何か
  • 基本的な記号と使い方
  • 実際に自動化を設計してみる

図で描くことで、複雑な自動化もスッキリ理解できるようになります!

チャレンジ問題

問題1:要素を見分けよう

以下の自動化の例から、トリガー・アクション・条件を見分けてください。

「毎朝8時に、今日の天気が雨なら『傘を忘れずに』というLINE通知を送る」

答えを見る
  • トリガー:毎朝8時になる
  • 条件:今日の天気が雨
  • アクション:『傘を忘れずに』というLINE通知を送る

問題2:自動化を設計しよう

以下の状況を自動化するには、どんなトリガー・アクション・条件が必要でしょうか?

「お客様から注文メールが来たら、在庫があれば『承りました』と返信し、在庫がなければ『在庫切れです』と返信したい」

答えの例
  • トリガー:注文メールを受信
  • 条件1:在庫あり
    • アクション1:「承りました」メールを返信
  • 条件2:在庫なし
    • アクション2:「在庫切れです」メールを返信

追加で考えられるアクション:

  • 在庫ありの場合:在庫数を1減らす、発送準備リストに追加
  • 在庫なしの場合:入荷通知希望リストに追加、仕入れ担当に通知

問題3:日常生活で自動化設計

あなたの日常生活で「これが自動化できたら便利」と思うものを1つ選び、トリガー・アクション・条件を設計してみましょう。

設計例

朝の準備サポート自動化


お疲れさまでした!これで自動化の基本要素をマスターしました。次回のフローチャートで、さらに理解を深めていきましょう!

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