はじめに
今日は、プログラミングでとってもよく使う「変数(へんすう)」について学びます。
「変数」という言葉、ちょっと難しそうですね。
でも大丈夫!**変数は「名前付きの箱」**だと思えば、とても簡単です。
身の回りの「名前付きの箱」
あなたの部屋を想像してください
あなたの部屋には、いろいろな「箱」がありませんか?
🏠 部屋にある名前付きの箱
- おもちゃ箱:おもちゃを入れる箱
- 筆箱:えんぴつや消しゴムを入れる箱
- お菓子の箱:お菓子を入れる箱
- 思い出の箱:大切な物を入れる箱
これらの箱には、それぞれ名前があって、中に何かを入れることができますね。
プログラミングの「変数」も、まさに同じです!
変数=名前付きの箱
変数の3つの特徴
-
名前がある
- 「おもちゃ箱」「筆箱」のように、変数にも名前をつけます
-
中身を入れられる
- 数字、文字、いろいろなものを入れられます
-
中身を取り出せる
- 必要なときに、箱の中身を使えます
プログラミングでの例
// 「年齢」という名前の箱を作って、「10」を入れる
年齢 = 10
// 「名前」という名前の箱を作って、「太郎」を入れる
名前 = "太郎"
// 「お小遣い」という名前の箱を作って、「500」を入れる
お小遣い = 500
なぜ変数(箱)が必要なの?
例1:計算機を作るとき
変数がない場合:
5 + 3 = 8
8 + 2 = 10
10 + 7 = 17
毎回、前の答えを覚えておかないといけません。大変!
変数がある場合:
答え = 5 + 3 // 答えという箱に8を入れる
答え = 答え + 2 // 箱の中身(8)に2を足して、10を入れる
答え = 答え + 7 // 箱の中身(10)に7を足して、17を入れる
「答え」という箱に結果を保存できるので、便利!
例2:ゲームを作るとき
🎮 ゲームで使う変数(箱)
プレイヤーの名前 = "ゆうしゃ"
レベル = 1
HP = 100
お金 = 50
// 戦闘でダメージを受けた!
HP = HP - 20 // HPが80になる
// レベルアップした!
レベル = レベル + 1 // レベルが2になる
変数があるから、ゲームの状態を記憶できるんです!
箱の中身を変える
実生活の例
あなたの「貯金箱」で考えてみましょう:
最初:貯金箱には100円入っている
月曜日:50円もらった
→ 貯金箱 = 100 + 50 = 150円
水曜日:30円使った
→ 貯金箱 = 150 - 30 = 120円
金曜日:200円もらった
→ 貯金箱 = 120 + 200 = 320円
プログラミングでも同じ!
貯金箱 = 100 // 最初は100円
貯金箱 = 貯金箱 + 50 // 150円になる
貯金箱 = 貯金箱 - 30 // 120円になる
貯金箱 = 貯金箱 + 200 // 320円になる
// 最終的に貯金箱の中身は320円!
変数の名前のつけ方
良い名前の例
分かりやすい名前をつけましょう!
// ✅ 良い例
プレイヤーの名前 = "たろう"
現在の気温 = 25
好きな色 = "青"
テストの点数 = 85
あまり良くない名前の例
// ❌ 良くない例
a = "たろう" // aって何?
x = 25 // xって何の数字?
あ = "青" // 短すぎて分からない
名前付けのコツ
-
何が入っているか分かる名前にする
- ○ 「お小遣い」
- × 「お金」(何のお金か分からない)
-
日本語でもOK!(最近のプログラミング環境では)
- でも、英語も覚えておくと便利
-
長すぎず、短すぎず
- ○ 「テストの点数」
- × 「今日の算数のテストで取った点数の結果」(長すぎ)
練習問題:変数を使ってみよう
問題1:お買い物プログラム
お店で買い物をするプログラムを考えてみましょう。
所持金:1000円
りんご:100円
みかん:80円
バナナ:120円
りんごを2個、みかんを3個買ったら、残金はいくら?
答えを見る
所持金 = 1000
りんごの値段 = 100
みかんの値段 = 80
// りんごを2個買う
りんごの合計 = りんごの値段 × 2 // 200円
所持金 = 所持金 - りんごの合計 // 800円
// みかんを3個買う
みかんの合計 = みかんの値段 × 3 // 240円
所持金 = 所持金 - みかんの合計 // 560円
// 答え:残金は560円
問題2:温度変換プログラム
摂氏(℃)を華氏(°F)に変換するプログラムを考えてみましょう。
変換式:華氏 = 摂氏 × 9/5 + 32
摂氏20度は華氏何度?
答えを見る
摂氏 = 20
華氏 = 摂氏 × 9/5 + 32
華氏 = 20 × 9/5 + 32
華氏 = 36 + 32
華氏 = 68
// 答え:摂氏20度は華氏68度
いろいろな箱の使い方
1. 交換する
2つの箱の中身を入れ替えるには?
// 最初の状態
箱A = "りんご"
箱B = "みかん"
// 一時的な箱を使って交換
一時的な箱 = 箱A // 一時的な箱に「りんご」を入れる
箱A = 箱B // 箱Aに「みかん」を入れる
箱B = 一時的な箱 // 箱Bに「りんご」を入れる
// 結果:箱Aは「みかん」、箱Bは「りんご」
2. カウンターとして使う
何回やったか数える:
回数 = 0
// 腕立て伏せをするたび
回数 = 回数 + 1 // 1回目
回数 = 回数 + 1 // 2回目
回数 = 回数 + 1 // 3回目
// 結果:回数は3
3. フラグ(旗)として使う
状態を記憶する:
宿題終わった = false // まだ終わってない
// 宿題をやる...
宿題終わった = true // 終わった!
// もし宿題が終わったら、ゲームができる
よくある間違いと対処法
間違い1:箱を作る前に使う
// ❌ 間違い
合計 = 数字1 + 数字2 // 数字1と数字2の箱がまだない!
// ✅ 正解
数字1 = 10
数字2 = 20
合計 = 数字1 + 数字2
間違い2:箱の名前を間違える
// ❌ 間違い
プレイヤーの名前 = "太郎"
ようこそ + プレーヤーの名前 // 「プレイヤー」のスペルが違う!
// ✅ 正解
プレイヤーの名前 = "太郎"
ようこそ + プレイヤーの名前
実践演習:CommandPlaygroundで体験
ファイルツリー
今日のまとめ
覚えておいてほしい3つのこと
- 変数は「名前付きの箱」(中身を入れたり出したりできる)
- 分かりやすい名前をつけることが大切
- 箱の中身はいつでも変更できる
次回予告
次のレッスンでは、箱に入れる「データの種類」について学びます。
- 数字の箱(1, 2, 3.14...)
- 文字の箱("こんにちは"、"ABC"...)
- はい/いいえの箱(true/false)
それぞれの箱には、入れられるものと入れられないものがあります。その違いを楽しく学びましょう!
チャレンジ問題
ミッション:成長記録プログラム
あなたの成長を記録するプログラムを考えてみましょう。
記録する項目:
- 名前
- 学年
- 身長
- 好きな教科
1年後に学年が上がって、身長が5cm伸びたとき、どう変数を更新しますか?
答えの例を見る
// 最初の記録
名前 = "山田太郎"
学年 = 4
身長 = 130
好きな教科 = "算数"
// 1年後...
学年 = 学年 + 1 // 5年生になった
身長 = 身長 + 5 // 135cmになった
好きな教科 = "理科" // 好きな教科が変わった
// 結果を表示
"名前:" + 名前
"学年:" + 学年 + "年生"
"身長:" + 身長 + "cm"
"好きな教科:" + 好きな教科
素晴らしい!変数という「魔法の箱」の使い方が分かりましたね。プログラミングでは、この箱をたくさん使って、いろいろなものを作ります。次回も楽しみにしていてください!