🎯 この記事で学べること
- 1カーソル移動の基本ショートカットをマスターできます
- 2テキスト編集・削除の効率的な方法が身につきます
- 3コマンド履歴を素早く検索・実行する技が習得できます
- 4画面制御やプロセス管理のショートカットを理解できます
- 5自分好みのカスタムショートカットの設定方法がわかります
読了時間: 約10分
はじめに
こんにちは!今日は「ターミナルショートカット」について学びましょう。
「マウスでカーソルを移動するのが面倒...」「同じコマンドを何度も打ち直すのが大変...」そんな悩みはありませんか?
実は、ターミナルには便利なキーボードショートカットがたくさん用意されています。これらをマスターすれば、マウスを使わずにサクサク作業できるようになりますよ!
ショートカットって何がいいの?
ターミナルでのキーボードショートカットを使うメリット:
- 速い!: マウスに手を伸ばす必要がない
- 楽!: 長いコマンドの編集が簡単
- かっこいい!: プロっぽく見える(これ重要!)
まるでピアニストが鍵盤を華麗に操るように、あなたもターミナルを自在に操れるようになります!
🎮 理解度チェック
カーソル移動の基本ショートカット
行内での移動
まずは基本中の基本、カーソルの移動から!
Ctrl + A # 行の先頭へ(Ahead)
Ctrl + E # 行の最後へ(End)
Ctrl + F # 1文字右へ(Forward)
Ctrl + B # 1文字左へ(Backward)
覚え方のコツ:
- Ahead(先頭)
- End(終端)
- Forward(前進)
- Backward(後退)
単語単位での移動
もっと素早く移動したいときは:
Alt + F # 1単語右へ
Alt + B # 1単語左へ
長いコマンドを編集するときに便利です!
Mac の場合、Option キーが Alt キーの代わりになります。ターミナルの設定で「メタキーとして Option キーを使用」を有効にする必要があるかもしれません。
テキスト編集のショートカット
削除のテクニック
間違えたときも慌てない!
Ctrl + D # カーソル位置の文字を削除(Delete)
Ctrl + H # カーソルの左の文字を削除(Backspace と同じ)
Ctrl + W # カーソルの左の単語を削除
Alt + D # カーソルの右の単語を削除
行の削除と復元
Ctrl + K # カーソル位置から行末まで削除(Kill)
Ctrl + U # カーソル位置から行頭まで削除
Ctrl + Y # 削除した内容を貼り付け(Yank = 引っ張る)
使用例:
- 長いコマンドの途中で間違いに気づいた
Ctrl + U
で一旦全部消す- 正しく打ち直す
- あ、さっきの一部は使いたかった...
Ctrl + Y
で復元!
文字の入れ替え
タイプミスを素早く修正:
Ctrl + T # カーソル位置と左の文字を入れ替え(Transpose)
例:grpe
と打ってしまった → カーソルを p の後に置いて Ctrl + T
→ grep
に修正!
コマンド履歴の魔法
履歴の検索
過去に打ったコマンドを瞬時に呼び出す!
Ctrl + P # 前の履歴へ(Previous)- ↑キーと同じ
Ctrl + N # 次の履歴へ(Next)- ↓キーと同じ
Ctrl + R # 履歴を検索(Reverse search)
Ctrl + R
の使い方:
Ctrl + R
を押す- 探したいコマンドの一部を入力
- 見つかったら Enter で実行、または → キーで編集
履歴の展開
便利な記号たち:
!! # 直前のコマンドを実行
!$ # 直前のコマンドの最後の引数
!^ # 直前のコマンドの最初の引数
!* # 直前のコマンドのすべての引数
実用例:
$ mkdir very/long/path/to/directory
$ cd !$ # very/long/path/to/directory に移動!
🎮 理解度チェック
画面とプロセスの制御
画面の操作
Ctrl + L # 画面をクリア(clear コマンドと同じ)
Ctrl + S # 画面の出力を一時停止(Scroll lock)
Ctrl + Q # 画面の出力を再開
プロセスの制御
実行中のプログラムをコントロール:
Ctrl + C # 実行中のプロセスを終了(Cancel)
Ctrl + Z # 実行中のプロセスを一時停止(Zzz...)
Ctrl + D # 入力の終了(Done)・ログアウト
Ctrl + S
で画面が固まったように見えても慌てないで!Ctrl + Q
で元に戻ります。
便利な特殊操作
直前の操作を活用
Alt + . # 前のコマンドの最後の引数を挿入
Ctrl + _ # 直前の操作を取り消し(Undo)
Alt + .
の連続使用:
- 1回押す:直前のコマンドの最後の引数
- 2回押す:2つ前のコマンドの最後の引数
- 3回押す:3つ前の...(以下同様)
コマンドの置換
タイプミスを素早く修正:
^old^new # 直前のコマンドの old を new に置換して実行
例:
$ grpe -r "error" /var/log
# あ、grep のスペルミス!
$ ^grpe^grep
# grep -r "error" /var/log が実行される
カスタムショートカットの作成
~/.inputrc で設定
自分だけのショートカットを作ろう!
# ~/.inputrc に追加
# Ctrl+G で git status
"\C-g": "git status\n"
# Alt+L で ls -la
"\el": "ls -la\n"
# F1 でヘルプ表示
"\e[11~": "man bash\n"
bind コマンドで即座に設定
# 現在のセッションだけで有効
$ bind '"\C-o": "cd ..\n"' # Ctrl+O で親ディレクトリへ
ターミナルエミュレータのショートカット
共通のショートカット
多くのターミナルで使える:
# タブ・ウィンドウ操作
Ctrl + Shift + T # 新しいタブ
Ctrl + Shift + W # タブを閉じる
Ctrl + PageUp/Down # タブを切り替え
# コピー&ペースト
Ctrl + Shift + C # コピー
Ctrl + Shift + V # ペースト
# ズーム
Ctrl + + # 拡大
Ctrl + - # 縮小
Ctrl + 0 # リセット
🎮 理解度チェック
実践的な使用例
長いコマンドの編集
# 間違えて長いコマンドを打った
$ find /home/user/documents -name "*.txt" -type f -mtime -7 -exec grpe -l "important" {} \;
# grpe → grep に修正したい
# 方法1: Ctrl+A → Alt+F を何回か → Ctrl+T
# 方法2: ^grpe^grep で再実行
効率的な作業フロー
# ファイルを作成
$ touch important_document.txt
# 編集
$ vim !$ # important_document.txt を編集
# バックアップを作成
$ cp !$ !$.backup # important_document.txt.backup として保存
# 確認
$ ls -la important*
ショートカット習得のコツ
段階的に覚える
- 第1週: 基本移動(Ctrl+A、Ctrl+E)
- 第2週: 削除系(Ctrl+W、Ctrl+K、Ctrl+U)
- 第3週: 履歴検索(Ctrl+R、!!、!$)
- 第4週: 高度な操作(Alt+.、カスタム設定)
練習方法
# 練習用の長いテキスト
$ echo "The quick brown fox jumps over the lazy dog 1234567890"
# この文章で各種ショートカットを試してみる
# - Ctrl+A/E で端へ移動
# - Alt+F/B で単語移動
# - Ctrl+W で単語削除
# - Ctrl+K/U で部分削除
よくあるトラブルと解決法
ショートカットが効かない場合
-
ターミナルの設定を確認
- Mac: Option キーをメタキーとして設定
- Linux: ターミナルエミュレータの設定確認
-
競合の解決
- デスクトップ環境のショートカットと競合していないか確認
- ターミナルエミュレータ固有の設定を確認
-
設定のリセット
$ stty sane # ターミナル設定をリセット
📝 まとめ
今日はターミナルショートカットについて学びました!
- カーソル移動:Ctrl+A/E(端へ)、Alt+F/B(単語移動)
- テキスト編集:Ctrl+W(単語削除)、Ctrl+K/U(行削除)、Ctrl+Y(貼り付け)
- 履歴操作:Ctrl+R(検索)、!!(再実行)、!$(最後の引数)
- プロセス制御:Ctrl+C(終了)、Ctrl+Z(一時停止)、Ctrl+L(画面クリア)
- カスタマイズ:~/.inputrc や bind コマンドで自分好みに設定
最初は覚えることが多く感じるかもしれませんが、よく使うものから少しずつ覚えていけば大丈夫です。気がつけば、マウスなしでターミナルを自在に操れるようになっているはずです!
次はタブ補完を学んで、さらに効率的な入力方法をマスターしてみませんか?
今日の練習: まず Ctrl+A(行頭)、Ctrl+E(行末)、Ctrl+R(履歴検索)の3つから始めてみましょう。1週間使い続ければ、もう手放せなくなりますよ!