🎯 この記事で学べること
- 1`less`コマンドの基本的な使い方をマスターできます
- 2ファイル内の効率的なナビゲーション方法が身につきます
- 3検索・フィルタリング機能を活用できるようになります
- 4ログファイルの監視やリアルタイム追跡の方法がわかります
- 5`more`コマンドとの違いを理解し、適切に使い分けられます
読了時間: 約10分
lessコマンドとは
みなさん、大きなログファイルを開いて、画面が一瞬で流れてしまって困ったことはありませんか?そんな時に便利なのがless
コマンドです!
less
は、ファイルの内容をページ単位で表示してくれるページャーツールなんです。cat
コマンドとは違って、大きなファイルでも必要な部分だけを効率的に閲覧できるんですよ。スクロールや検索、ジャンプなど、たくさんの便利な機能があるので、ログファイルやドキュメントの閲覧には欠かせないツールですね。
基本的な使い方
ファイルを開く
まずは基本的な使い方から見ていきましょう!
# 基本的な使い方
$ less filename.txt
# 複数ファイルを開く
$ less file1.txt file2.txt file3.txt
# パイプで出力を表示
$ cat large_file.txt | less
$ ls -la | less
# 行番号付きで表示
$ less -N filename.txt
less
は「less is more」という言葉から名付けられました。more
コマンドよりも高機能という意味が込められているんですよ!
基本的な操作方法
less
を開いた後は、キーボードで操作します。よく使うキーを覚えておきましょう!
# ページ移動
Space / f # 1ページ下へ
b # 1ページ上へ
Enter / e # 1行下へ
y # 1行上へ
# ファイルの移動
g # ファイルの先頭へ
G # ファイルの末尾へ
50g # 50行目へジャンプ
# 終了
q # lessを終了
Q # 即座に終了(プロンプトなし)
検索機能
前方検索と後方検索
less
の検索機能はとても強力です。ファイル内の特定の文字列を素早く見つけることができますよ!
# less内での検索コマンド
/pattern # 前方検索(下方向)
?pattern # 後方検索(上方向)
n # 次の検索結果へ
N # 前の検索結果へ
# 大文字小文字を無視して検索
/pattern -i # または起動時に less -i filename
# 正規表現での検索
/error.*failed # errorとfailedを含む行
/^2025-08-08 # 行頭が2025-08-08で始まる行
ハイライト検索
検索した文字列をハイライト表示することもできます。エラーログを見る時などに便利ですね!
# 検索結果をハイライト表示
$ less filename.txt
# less内で以下を実行
/ERROR # ERRORを検索してハイライト
ESC u # ハイライトを解除
# 起動時からハイライト有効
$ less -p "pattern" filename.txt
便利な機能
マーク機能
重要な箇所にマークを付けて、後で簡単にジャンプできる機能もあるんです!
# less内でのマーク操作
ma # 現在位置をマーク'a'として保存
'a # マーク'a'の位置へジャンプ
'' # 直前の位置へ戻る
# 使用例:重要な箇所をマークして移動
# 1. エラー箇所でmaを押してマーク
# 2. 他の場所を確認
# 3. 'aで元の場所へ戻る
複数ファイルの操作
複数のファイルを同時に開いて、切り替えながら見ることもできますよ!
# 複数ファイルを開いた場合
:n # 次のファイルへ
:p # 前のファイルへ
:e file.txt # 新しいファイルを開く
:f # 現在のファイル名を表示
# ファイル一覧を表示
:files # 開いているファイル一覧
tail -fモード
ログファイルをリアルタイムで監視したい時は、tail -f
のような動作もできるんです!
# ファイルの更新を監視(tail -fのような動作)
$ less +F filename.log
# less内でFを押すと監視モード
# Ctrl+Cで通常モードに戻る
# 起動オプションで最初から監視
$ less +F /var/log/syslog
高度な使い方
フィルタリング
特定のパターンを含む行だけを表示することもできます。ログ解析で大活躍する機能ですね!
# less内でのフィルタリング
&pattern # patternを含む行のみ表示
&!pattern # patternを含まない行のみ表示
& # フィルタをクリア
# 例:ERRORを含む行のみ表示
&ERROR
# WARNINGも追加で表示
&ERROR|WARNING
環境変数とオプション
よく使うオプションを環境変数に設定しておくと、毎回指定する手間が省けますよ!
# よく使うオプション
$ less -S file.txt # 長い行を折り返さない
$ less -R file.txt # ANSIカラーコードを解釈
$ less -X file.txt # 終了時に画面をクリアしない
$ less -F file.txt # ファイルが1画面に収まる場合は即座に終了
# 環境変数でデフォルト動作を設定
$ export LESS='-R -S -i' # ~/.bashrcに追加
実践的な活用例
ログファイルの解析
システム管理では、ログファイルの解析が重要な作業ですよね。less
を使えば効率的に作業できます!
# 大きなログファイルの効率的な閲覧
$ less +G /var/log/apache2/access.log # 末尾から開始
# エラーログの監視
$ less +F /var/log/error.log
# 特定の日付のログを検索
$ less /var/log/syslog
# /2025-08-08 で検索
# 圧縮ファイルの直接閲覧
$ zless /var/log/syslog.1.gz
プログラミングでの活用
ソースコードを読む時にもless
は便利です!
# ソースコードの閲覧
$ less -N script.py # 行番号付き
# 関数定義を検索
$ less code.js
# /function.*getData で検索
# diffの結果を見やすく表示
$ diff file1.txt file2.txt | less -R
lessとmoreの違い
機能比較
less
とmore
の違いを理解して、適切に使い分けましょう!
# more(基本的なページャー)
- 前方向のみスクロール可能
- 検索機能が限定的
- 機能がシンプル
# less(高機能ページャー)
- 前後双方向スクロール
- 高度な検索機能
- マーク、フィルタリング等の豊富な機能
使い分け
それぞれのコマンドが適している場面を見てみましょう。
# moreが適している場合
$ cat small_file.txt | more # 小さなファイル
# lessが適している場合
$ less large_log.file # 大きなファイル
$ journalctl | less # システムログ
$ man command | less # マニュアルページ(通常はデフォルト)
🎮 理解度チェック
📝 まとめ
今回はless
コマンドについて学びました!
less
は大きなファイルを効率的に閲覧できるページャーツール- 前後双方向のスクロールや強力な検索機能を持つ
- マーク機能やフィルタリング機能で必要な情報を素早く見つけられる
tail -f
モードでログファイルのリアルタイム監視が可能more
コマンドよりも高機能で、大きなファイルの閲覧に適している
次はgrepコマンドで、ファイル内の文字列検索をもっと効率的に行う方法を学びましょう!